4.使用場面「人間関係」
「かける」を使える次の場面は、「人間関係」です。この文脈の例文も用意しておきましたので、ひとつずつ見ていきましょう。
・私の夢は、外交官になって世界に友情の橋をかけること。
「漢字の使い分け」で紹介した「架ける(物と物の間を渡す)」のニュアンスがある例文です。固定表現として「橋をかける」で覚えておくと良いでしょう。
ちなみに、「橋を架ける」は文字通りに物理的に渡れる橋やロープの話の場合で、上記の例文のように比喩的に人などの間の友情や関係について話すときは「橋を懸ける」で漢字を使い分けるのが正式です。
・ご不明な点がございましたらお気軽にお声がけください。
・本日中に母に電話をかけようと思ったが、結局遅くまで忙しくてかけられなかった。
「声をかける」と「電話をかける」も固定表現として覚えることをおすすめします。
・この度ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございませんでした。
・気遣いに感謝しているが、君に負担をかけるつもりがないよ。
・あの子はいつも母に心配をかけている。
誰かに心労・足労・迷惑・心配・負担をさせる時に「~をかける」と言い、謝罪するときなどによく使われます。
ただし、この5つの言葉に似たような言葉でも使用されないものもあるので注意しましょう。(例えば「不安をかける」、とは言いません。)
次の例文は慣用的な「かける」を使っています。
・彼女の話し方は魔法をかけたように誰でも落ち着かせる。
・あのおもちゃは高すぎて買うべきじゃなかったのに、息子の甘い言葉の罠にかけられてしまった。
上記の「罠にかける」は、先ほどの「橋をかける」と同じく比喩的な表現ですね。
・私は命をかけても自分の子どもを守るよ。
どんな結果になっても、かけがえのない物を差し出すという意味になります。
・このような失態をもう二度と繰り返さないように父の名にかけて誓います。
強い誓約や決意を表す時に、「"非常に価値の高い何か"にかけて」という形で使われます。もし違約したらかけたものの名誉や功績が失われるので、絶対に成功させる覚悟があるという意味となります。
以上、「人間関係」の文脈で役に立つ「かける」の様々な意味を見てきました。