UPDATE | 2019年01月30日
外国人留学生のみなさんが「大学院」に進学するための、基本情報です。日本の大学院の特徴をはじめ、主な出願条件、入試方法、かかる費用などを確認して、大学院進学のための準備を始めましょう。
目次
日本の大学院には、学校によって設置している課程は異なりますが、「修士課程」「博士課程」「専門職学位課程(修士課程)」の3つの種類があります。その多くが4月入学の大学院ですが、一部9月~10月入学の大学院もあります。
日本の大学院で特徴的なのは「博士課程」の区分です。
5年間一貫制の学校と、2年間の「博士課程(前期)」と3年間の「博士課程(後期)」に分かれている区分制の学校があります。日本の大学院の場合、一貫制博士課程をもつ学校は少なく、多くは区分制の学校です。もし、「博士課程(前期)」のみで修了した場合には、修士課程修了とみなします。
「専門職学位課程(修士課程)」は、高度な専門能力を備え、社会・経済の各分野でリーダーとなって活躍できる職業人の養成を目指す教育課程です。
専門職学位課程(修士課程)の取得に特化した研究を行う場として、「専門職大学院」があり、代表的なものとしては、法律に関する職業人を養成する法科大学院、教員養成の教職大学院。その他にも経営、会計、MOT(Management of Technology)、公共政策、公衆衛生、知的財産、臨床心理などの分野の専門職大学院があります。
さらに、日本の大学院には、非正規の学生でありながら大学院で聴講ができる「研究生(留学研究生)」という制度があります。
研究生は、学位の取得を目的とせず短期間の研究活動のために在籍をしている者、大学間交流協定に基づく短期留学生として在籍している者、大学院正規過程の入学への準備機関として在籍している者のいずれかで、書類選考だけで入学許可を得ることができる学校が多くあります。
大学院によっては、大学院正規過程へ進学する前に、研究生の過程を経ることが望ましいとしている大学院もあります。研究生として「留学」の在留資格(ビザ)を得るためには、1週間につき10時間以上の聴講をすることが必要です。
その他、特定の科目を履修して単位を取得することができる「科目等履修生」、特定の科目は聴講できますが単位の取得はできない「聴講生」という制度を設けている学校もあります。
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学士と同等程度の、以下のような条件のいずれかを満たす必要があります。
1:日本の大学を卒業した者
2:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)により学士の学位を授与された者
3:外国において、学校教育における16年間の課程を修了した者
4:外国の大学、外国に置かれている学校のうち大学に相当する学校において、修業年限が3年以上の過程を修了することにより、学士の学位に相当する学位を授与された者
5:日本において、外国の大学の課程を有するものとして指定された教育施設の16年の課程を修了した者
6:指定された専修学校を修了した者
7:大学院において、個別の入学資格審査により、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達した者
修士と同等程度の、以下のような条件のいずれかを満たす必要があります。
1:日本の修士の学位や専門職学位を有する者
2:外国において、修士の学位や専門職学位に相当する学位を授与された者
3:日本において、外国の大学院の学位を有するものとして指定された課程を修了し、修士の学位や専門職学位に相当する学位を授与された者
4:大学を卒業し、大学、研究所(外国の大学・研究所を含む)等において2年以上研究に従事した者で、大学院において、修士の学位を有する者と同等の学力があると認めた者
5:大学院において、個別の入学資格審査により、修士の学位または専門職学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者で、24歳に達した者
博士課程のうち、「医学」「歯学」「一部の薬学」「獣医学」については、以下の条件となります。
1:日本の大学の医学、歯学、薬学または獣医学の学部課程(6年間)を修了した者
2:日本の修士の学位や専門職学位を有する者
3:外国において、学校教育における18年間の課程を修了した者
4:日本において、外国の大学の課程を有するとして指定された教育施設の18年間の課程を修了した者
5:大学院において、個別の入学審査により、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、24歳に達した者
入学する大学院や課程により異なります。各大学院に問い合わせ、確認をするようにしてください。
修業年限 | 取得単位 | その他 | 取得学位 | |
---|---|---|---|---|
修士課程 | 標準2年 | 30単位以上 | 修士論文の審査および試験に合格 | 修士 |
専門職学位課程 (修士課程) |
2~3年以上 | 30単位以上 (大学院により異なる) |
- | 修士 (専門職) |
博士課程 | 標準5年 | 30単位以上 | 博士論文の審査おおよび試験に合格 | 博士 |
下記の一覧表は、日本の大学院の初年度納入金平均額(日本人学生)です。
初年度納入金額とは、一般的に入学金、授業料、施設・設備費などを含んだ入学する年にかかる費用で、ここに表示されている金額は奨学金などを適用する前の費用です。
■修士課程
国立 | ¥817,800 | |
---|---|---|
公立 | ¥901,603 | |
私立 | 芸術 | ¥1,418,466 |
工学 | ¥1,179,083 | |
保健 | ¥1,128,053 | |
理学 | ¥1,069,686 | |
農学・獣医学 | ¥1,016,628 | |
薬学 | ¥1,026,211 | |
家政 | ¥964,087 | |
教養 | ¥939,167 | |
社会科学 | ¥919,398 | |
人文科学 | ¥852,526 | |
医学 | ¥867,683 |
■博士課程
国立 | ¥817,800 | |
---|---|---|
公立 | ¥901,603 | |
私立 | 芸術 | ¥1,304,179 |
工学 | ¥1,002,508 | |
保健 | ¥1,046,670 | |
理学 | ¥990,668 | |
農学・獣医学 | ¥1,017,207 | |
薬学 | ¥897,208 | |
家政 | ¥961,218 | |
教養 | ¥901,551 | |
社会科学 | ¥821,148 | |
人文科学 | ¥799,788 | |
医学 | ¥699,625 |
出典:文部科学省/JASSO(2018-2019 Student Guide to Japanより)
これらの初年度納入金以外に、出願の時にかかる入学検定料、海外から日本に受験をしにくる場合には渡航費と滞在費、入学する大学院のそばで生活をするようであれば引っ越しや入居のための費用などがかかってきます。
とてもたくさんの費用がかかるように見えますが、日本学生支援機構(JASSO)をはじめ、地方自治体、各種団体、入学した大学院による、各種奨学金や学費の減免制度(授業料の30%~全額程度)など日本での学費負担をサポートする制度もありますので、詳しくは各学校のウェブサイトを確認するか、志望の大学院に問い合わせてください。
奨学金の種類によっては、入学後から支給されるものもあります。学校に収める金額以外にも、いつ何にどれくらいの費用がかかるのか、申し込んだサポート制度がいつからどんな目的に使えるのか、調べておくとよいでしょう。
各学校によって必要提出書類は異なります。志望校が決まったら、必ず募集要項やウェブサイト、直接問い合わせなどで必要書類の確認をするようにしてください
多くの大学院入試で一般的に必要となる書類は、以下のとおりです。発行に時間がかかる書類や、郵送にかかる時間も地域によって異なりますので、余裕を持って準備をしましょう。
1:入学願書(大学院所定のもの)
2:大学学部卒業(見込)証明書
3:修士学位取得(見込)証明書 ※博士課程の場合
4:最終学校の成績証明書
5:推薦状
6:出身大学における研究(卒業)論文とその要旨
7:研究計画書
8:その他
大学院によっては、講義言語が「日本語のみ」または「主に日本語」という研究科・専攻があります。そのため、日本留学試験(EJU)、日本語能力試験(JLPT)などの日本語能力証明書の提出が必要な場合もあります。
また、研究科によっては、出願前に指導教員(大学教授など、履修計画や研究の指導をしてくれる教員)を自分で探して、受け入れの内諾を得る必要があります。
指導教員は、あなたの出身大学の指導教員から紹介をしてもらったり、学会報や元留学生、自国の研究者等から情報を得たり、大学院のウェブサイト「researchmap(国立情報学研究所のウェブサイト)」「J-GLOBAL(独立行政法人科学技術振興機構のウェブサイト)」等で、探すことができます。自分の研究分野に合った指導教員を見つけましょう。
指導教員を見つけたら、これまでのあなたの研究成果や今後の研究計画、その教員を選んだ理由などを具体的に明記した文章と、できればあなたの出身大学の指導教員等の推薦状をつけてE-mailなどで送ることが望ましいです。すぐに返事が来ない場合もありますので、時間に余裕を持って志望する研究科・専攻を見つけるようにしましょう。
試験内容は大学院ごとに異なりますが、多くの場合、下記のいくつかを組み合わせて行われます。
1:書類審査(出願書類)
2:学力試験(専攻または指定科目の筆記試験)
3:面接(直接またはオンライン)
4:小論文・作文
5:専攻科目に関する口頭試問(直接またはオンライン、電話)
(3)面接、(5)専攻科目に関する口頭試問は、(1)書類審査や(2)学力試験などの合格者のみ実施する、二段階の選抜方法を実施している学校が多くあります。
その場合、試験日が数日間にまたがる場合がありますので、日本国外からの応募する場合は、二次試験も含めた期間中滞在できるよう試験日程と内容を事前によく確認しましょう。
大学院への進学は、研究科ごとにその条件や事前準備などが異なります。
早めにどのような研究がしたいのかを定め、学べる大学院や指導教員を見つけて問い合わせをしてみることが重要です。もし、すぐに志望の研究科や担当教員が見つけられない場合には、自分の大学や大学院の担当教員に相談をすることで、あなたにあった大学院や研究科・専攻・指導教員が見つかるかもしれません。
大学院探しは、大学探し以上に時間がかかるもの。時間に余裕をもった学校探しを進めましょう。
大学院探しには、複数の学校が一堂に集まる「外国人学生のための進学説明会」の活用もオススメです。
大学院探しには、複数の学校が一堂に集まる「外国人学生のための進学説明会」の活用もオススメです。
直接学校の担当者と話ができるので、E-mailなどで何度も学校とやりとりをする必要もなく、あなたが知りたいことをその場で詳しく知ることができます。
志望校を選んでいるときには、ぜひ進学説明会や進学情報ウェブサイトを使ってみましょう。
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