UPDATE | 2022年06月07日
日本で部屋(家)を借りたいと思っている外国人の方に向けて、まずは海外と日本の賃貸契約に関する違いを解説します。その後、実際に部屋を借りるまでの流れを外国人専用の物件サイトとあわせてご紹介します。外国人が日本で賃貸契約をする際に一番ネックになる「保証人問題」の解決策や、外国人に多いトラブルなどよくある悩みも一通り解説。これを読めば、日本で部屋(家)を探して、借りて住むまでの手続きがわかります。
INDEX
海外の方から見ると、日本の賃貸契約は独特でびっくりされることがあります。ここでは、絶対に知っておきたいポイントをお伝えします。
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「礼金」は部屋(家)を借りる契約を結ぶ際に、オーナー(家主、大家さん)に部屋を貸してくれるお礼の意味で支払うもので返ってきません。金額は家賃の1か月~2か月分が一般的ですが、一部の物件では「礼金ゼロ」のものもあります。
「敷金」は家賃を滞納したり、部屋の壁を汚した、床を傷つけてしまったなど部屋の修理費が必要になった場合に備えて、前もってオーナーに払うまとまったお金。「礼金」と同じく、部屋を借りる契約を結ぶ際に支払い、「保証金」と呼ばれることもあります。
部屋を出るときに必要な金額だけ引かれ、残りは戻ってきますので、家賃をきちんと払い、部屋をきれいに使うよう心がけるとよいですね。
日本で部屋を借りるときには、「連帯保証人」が必要になります。これは外国人だけではなく、日本人でも同じです。
連帯保証人は、借主が家賃を払えなくなったり、部屋を汚したり設備を壊したりして修理が必要になったがその費用が払えないなどなった場合、借主に代わって家賃や修理費を払います。
契約する際、大事なポイントになりますので、後で詳しく説明します。
賃貸契約の期間が切れて、引き続き、同じ部屋を借りたい場合、契約更新の手続きをするときに「更新料」を払う必要があります。そして、このお金も返ってきません。
海外では家賃が高いなどさまざまな事情から、ルームシェアする、シェアハウスに住むなど、誰かと一緒に住むのが一般的な国もありますが、日本では一人暮らし用の物件を借りるのが基本となります。最近は事情が変わってきているものの、ルームシェアやシェアハウスはまだ少数派です。
そのほか、家を借りる手続きによく出てくる言葉で知っておきたいものを紹介します。
家賃とは別に毎月支払う費用で、共用スペース(階段や廊下、エレベーター、ゴミ捨て場など)の管理や維持に使われます。
家を借りるときに、オーナーとの間に入って手続きを進めてくれた不動産業者に支払います。家賃の1か月分が相場で、契約を結ぶ時に払うのが一般的です。
部屋を借りる契約をするときに、必ず行われるもので、
・物件の基本情報や設備について
・物件の安全性に関すること
・家賃の額や支払いについて
・契約に関すること
・部屋に住むにあたっての禁止・注意事項
などに特に大事なことについて説明があります。
部屋を出るときに、借りた部屋を入居時の状態に戻して返すこと。修理にかかった費用は契約時に預けた敷金から支払われます。対象になるのは床のキズやタバコのヤニ・匂いなど、借りた人の故意、あるいは不注意によるもので、家具を置いたことによる床のへこみ、色あせた壁紙など経年変化によるものは含まれません。
退去時、よくトラブルになることなので、入居時に壁や床に汚れやキズがないか、しっかり確認し、あった場合は写真を撮るなどして記録しておくことをおすすめします。
部屋を借りるとき、万が一に備えて加入する保険です。多くの場合、不動産会社と提携している火災保険に入ることをすすめられ、そのようにしている人が多いですが、自分で保険会社やプランを探して契約することもできます。
火災保険の内容は会社によって異なりますが、下記の3つがセットになっていることが多いです。
・家財保険
火災、落雷、爆発、水害、水漏れなどで自分の家財(家電や家具、美術品、宝飾品など)がダメになった場合に補償するもの。
・借家人賠償責任保険
火災や爆発、漏水などによって借りている部屋に損害を与えてしまったときに、部屋を元の状態に戻すための費用を補償するもの。
・個人賠償責任
日常生活のトラブル(身近な事故)を補償するもの。たとえば、ケガをさせてしまった相手への治療費や慰謝料、破損物の修理費や物を壊してしまったときに発生する損害賠償などが対象となります。
ここでは実際に日本で賃貸契約を結ぶには、どんな順番でどのようなことが必要になるのか、全体の流れをみていきましょう。
1.不動産会社に連絡
2.物件を紹介してもらう
3.契約する
4.入居時の注意
全体的な流れは上記1.~4.です。では、一つずつ詳しく解説していきます。
日本で部屋を借りるときは、オーナーと直接やりとりするのではなく、不動産会社をとおして部屋を探し、契約のやりとりをするのが一般的です。
不動産会社に連絡をとるときは、直接店舗に行ってもよいですが、外国人に対応してくれない場合もあるので、あらかじめメールや電話で問い合わせてアポイントをとってから足を運ぶとよいでしょう。
とくに契約に関する手続きは難しい言葉が多いので、手続きや日本語でのやりとりに不安のある人は、外国人向けの不動産会社に行くのも一つの手です。
また、最近はインターネットで希望条件に合う物件を探し、その物件を扱っている店舗にアポイントをとる、という方法も一般的です。外国人向けの物件もインターネットで探せるようになってきていますので、自分の状況に合わせて進めましょう。
日本の大手の不動産会社で外国人も借りることができる物件を扱っているところをいくつか紹介します。
https://www.able.co.jp/feature/foreigner/
創業50年余。日本最大級のネットワークで部屋を借りたい人と部屋のオーナーを結ぶ賃貸仲介を中心とした業務を展開し、豊富な実績がある。
https://www.chintai.net/feature/foreigner/
『住まい』『部屋』をベースに、Webメディアを中心としたさまざまなサービスやコンテンツを提供している。部屋を借りたい人がさまざまな条件で部屋探しがウェブサイト運営もそのひとつ。
https://www.homes.co.jp/
上の2つとは違い、不動産会社ではなく不動産・住宅情報サイトですが、外国籍の方に親身になって部屋探しを手伝ってくれる不動産会社を探すことができます。
次に、外国人専門の部屋探し情報サイトを紹介します。
https://www.best-estate.jp/ja/
サイト自体が多言語対応になっていて、各国出身のスタッフがいるので、日本語がわからなくても部屋探しや問い合わせ、相談などができます。
サイト自体が多言語対応になっていて、各国出身のスタッフがいるので、日本語がわからなくても部屋探しや問い合わせ、相談などができます。
不動産会社は借りることができる部屋の情報をたくさん持っています。「家賃」「住みたいエリア」「間取り」「広さ」「最寄り駅からの距離」など、希望する条件を伝えると、条件にあてはまる物件を紹介してくれます。
インターネットで見つけた「これは」という部屋がある人も、条件を伝えて探してもらうとよいでしょう。インターネットには載せていないけれど条件のよい部屋を紹介してもらえることがあったりします。
物件を検討する際、きちんと確認しておきたいのは下記の点です。
月々の家賃のほか、契約時に払う敷金・礼金、仲介手数料に加え、鍵の交換代やクリーニング費用などがかかる物件もあります。家賃は安くても、住み始める前の費用が予算オーバーだった...ということのないよう、しっかり確認しておきましょう。
部屋を借りる契約を結ぶにあたって、連帯保証人と火災保険の加入が必要かどうかも確認してください。もし必要な場合はプラスで費用がかかります。日本では、どちらも「必要」なケースが多いです。
最寄り駅からの距離はもちろん、学校や職場へのアクセスが便利なほうが暮らしやすいです。電車やバスなどは使えるのか、交通費など、地域の事情に詳しい不動産会社の人に教えてもらいましょう。
スーパーなど食べ物や日用品を買えるお店、近くの病院など、生活していくうえで必要な施設がどこにあるか。また、どんな雰囲気の街なのか、どんなエリアなのか、治安はどうかなども確認しましょう。
その他、日当たりや広さ、部屋の雰囲気など、実際に足を運んでみてわかることもありますので、できるだけ部屋を見に行くことをおすすめします。
もし難しい場合は、部屋の写真や映像を送ってくれたり、オンラインで部屋を見せてくれる不動産会社もありますので、そうしたサービスも活用してみてください。
気に入った部屋が見つかったら、入居申込をして審査にパスする必要があります。オーナーから「この人に部屋を貸してもいい」と許可をもらうのです。審査は家賃をきちんと払ってくれるか、隣近所とトラブルを起こさないか、といった点が見られます。そのため、氏名や生年月日、今の住所などの基本情報に加え、年収や勤務先、勤続年数などの情報も伝える必要があります。審査にかかる時間は3日から10日程度です。
無事、審査を通ったら、部屋を借りる契約をします。家賃の支払い方法、契約の期間、解約したい(住むのをやめて部屋から出たい)ときの手続き、特約事項(「ペットは飼えない」「楽器演奏禁止」など部屋に住むにあたって特に気をつけなくてはいけないこと)など、契約内容を確認し、納得出来たら契約書にサインします。
連帯保証人を立てたり、火災保険の加入手続きが必要な場合は、あわせて行います。
契約が完了したら、入居日にあわせて引っ越しの準備を進めましょう。鍵は引っ越しの当日、不動産会社から受け取って部屋に入ることになります。
部屋に入ったら、汚れているところがないか、エアコンなどの設備がきちんと使えるかを確かめ、もし気になる点があれば不動産会社に連絡しましょう。
引っ越し当日は電気・ガス・水道は基本的に止まっています。生活に欠かせないこれらのインフラを使えるようにするため、それぞれの会社に連絡しましょう。(引っ越し前に手続きできる会社もあります)
引っ越しについては、こちらの記事も参考にしてください。
電気・ガス・水道のインフラについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
日本留学後の光熱費の平均は?「電気・ガス・水道の契約方法も解説」
外国人が日本で部屋を借りるときにネックになるのが、日本独特の「連帯保証人が必要」という決まり。そこで連帯保証人になってもらえる人がいない場合、どうすればいいかを詳しく解説します。
別の項目でも説明したとおり、部屋を借りるのになぜ連帯保証人が必要なのかは、借りている人が家賃を滞納している、部屋を汚すなどして元の状態に戻すための費用が払えないなど、もしもの場合に支払いを肩代わりする役割があるからです。
この連帯保証人として認められるには、一定の収入があること、借主の親族(2等身以内)であるなど、オーナーや不動産会社が求める条件を満たす必要があるのですが、親族の多くが海外にいる外国人だけでなく、日本人であってもかなり厳しいものになっています。
連帯保証人が立てられない場合は、連帯保証人がなくても借りられる部屋を探すか、保証会社を利用するかのどちらかを考えましょう。
連帯保証人なしで借りることができる物件もありますので、そのなかから探すのがひとつの方法です。
「連帯保証人不要」の物件を探すことができるサイトを紹介します。
https://suumo.jp/chintai/nj_112/
不動産・住宅に関する総合情報サイトです。日本全国の物件を探すことができ、掲載物件数No.1。家探しをサポートする情報もたくさん紹介されています。
保証会社を利用することで、部屋を借りられる場合があります。これは外国人だけではなく、日本人でも親族が周りにいない、両親が退職していて一定の収入がないなど様々な事情から連帯保証人を立てられない人向けに生まれたビジネスです。
保証委託料を保証会社に払うことで、何かあった場合の対応を保証会社が肩代わりしてくれます。保証委託料は家賃の0.5~1か月分が相場で、入居後、1~2年ごとに1万円程度、更新料がかかる場合があります。
物件によってはオーナーの意向により、保証会社の利用をNGとしているケースもありますので、希望する物件が保証会社の利用OKかどうか、確認しましょう。OKな場合は、入居申込をする際、一緒に保証会社にもサービス利用の申込をします。
保証会社は部屋を紹介してくれた不動産会社の指定する会社を利用するのが一般的です。 外国人向けの保証人代行サービスを行っていて、日本語のやりとりなしで保証人の申し込みも物件探しも一緒にできてしまう会社があるので、そういった会社を利用するのもよいかと思います。
https://www.gtn.co.jp/business/rent-warranty/tenant/
英語、中国語、広東語、台湾華語、韓国語、ベトナム語、ネパール語等19言語以上で対応可能。
さまざまな手続きをして、無事、新しい家での生活がはじまったあとも気をつけてほしいことがあります。日本との生活文化や習慣の違いから、外国人がよくトラブルになってしまうことをまとめました。
勝手にほかの人に貸してはいけません。また、契約時の重要事項説明のときも話がありますが、その部屋に何人住めるかは決められています。1人用の部屋の場合、友達と一緒に住むことはできません。
音や声は隣の人や上下の階に住む人とトラブルになりやすい点です。日本人は一般的に静かな環境を好む傾向が強いので、大きな音で音楽を聴く、歩く、ドアを閉めるなどの動きで大きな音を出す、大きな声でしゃべるなどで、迷惑をかけないように気をつけましょう。
手渡し、銀行振込、クレジットカード払いなど、家賃の支払い方法はそれぞれだと思いますが、決められた日にきちんと払うように心がけてください。一般的に前月の末までに翌月分を前払いすることになります。
ゴミを種類ごとにわける必要があり、また、ゴミの種類によって出せる日、出し方が決まっています。地域によって異なりますので、住んでいるところのルールをしっかり守りましょう。
ゴミ捨てについては、こちらの記事も参考にしてください。
とくにお風呂や洗面台、台所、トイレなどの水回りはしっかり掃除しましょう。掃除をさぽり排水口が詰まったりすると、階下等への水漏れなど大きな事故につながります。
壁に釘を打つ、穴を開ける、ペンキを塗って色を変えるなど、部屋を傷つけたり変えたりする行為はすべて改造にあたり、無断でやってはいけません。やりたいときは必ずオーナーに確認し、許可をもらってください。
生活に欠かせないものなので、支払いが少し遅れたぐらいでとまることはありませんが、料金を払わない状態が続くと、使えなくなります。
旅行や一時帰国などで長期間、留守にする場合は、オーナーか不動産会社に連絡し、家賃や公共料金の支払いトラブルにならないよう気をつけましょう。
日本で部屋を借りるときには、「敷金・礼金」「連帯保証人」が必要です。また、契約を更新するときには「更新料」がかかるなど、日本独特のルールがあるので、よく使われる言葉の意味とあわせて、しっかり把握してから、部屋探しをはじめてください。
日本で部屋を借りるときには、ざっくりと下記のような流れで手続きを進めます。
1.不動産会社に行く。
2.希望条件を元に物件を紹介してもらって探す。
3.部屋が決まったら入居申込をする。無事、審査がパスできたら契約。
4.引っ越しの準備を進め、引っ越し当日に部屋の鍵をもらう。
外国人が日本で部屋を借りるとき、一番ネックになるのが「連帯保証人」がいないということですが、連帯保証人不要の物件を探したり、保証会社を利用することで解決できます。
現在では、外国人専門の保証会社もあり、日本語以外での対応OKなど外国人には心強いサービスを行っていますので、そうした会社を利用するのもよいと思います。
新しい家に住み始めたあとも、トラブルにならないよう少し注意が必要です。家賃や公共料金(電気・ガス・水道)の支払い、騒音やゴミ捨て、掃除など、決められたルールを守って生活しましょう。
アクセス日本留学 編集部。外国人留学生のみなさんが日本の学校を見つけるための資料請求ができるWebサイト「アクセス日本留学」の運営や「外国人留学生のための進学説明会」を開催しています。
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