UPDATE | 2022年03月14日
給与の受け取りや光熱費の支払いなど、生活に欠かせないお金のやりとりをするうえで必要になるのが銀行口座です。外国人が日本で新しく銀行口座を開設したい場合はどうすればよいのでしょうか。口座開設に必要となる条件や書類、口座開設の手続きの仕方、さらに口座を作るのにおすすめの6つの銀行を紹介します。
INDEX
外国人なら誰でも銀行口座(普通口座)を開設できるわけではありません。多くの銀行が条件を設けています。どのような人なら口座を開設することができるのか、見ていきましょう。
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外国籍の方が日本で銀行口座を作るときには、在留カードや住民票が必要になります。しかし、在留期間が3か月未満(90日以下の観光ビザなど)の方は在留カードが発行されず、住民登録ができないため住民票も取得できません。
また、在留期間が6か月未満の方は「非居住者」とみなされ、法律(外国為替及び外国貿易法外為法)により、普通口座を作ることができません。
以上の2つの条件を満たすことのできる人が、
・在留期間が6か月以上で、仕事や留学を目的に日本に滞在している人
ということになります。
在留カードはあるけれど在留期間が3か月以上6か月未満という方は、「非居住者」となるので普通口座は作れませんが、「非居住者円預金」という口座を作ることができます。
それでは、普通口座と非居住者円預金口座にはどんな違いがあるのでしょうか。普通口座に比べ、非居住者円預金口座ではできることが限られます。銀行によって異なりますが、海外への送金が制限される、キャッシュカードがない(ATMが利用できない)、口座引き落とし(家賃や光熱費、クレジットカード使用金額など)ができない、手続きにかかる手数料が高額、入出金できる支店が限られるなど。つまり、お金を預け、おろすくらいしかできず、実際に利用することを考えるといろいろ不便な点があります。
外国人が日本で銀行口座を開設する場合、どのような書類が必要になるのか、一つずつ見ていきましょう。
外国籍の方は、本人であることとともに日本への滞在許可を証明する必要があるので、在留カード、パスポート、特別永住者証明書(該当する方)の提示を求められます。その他に、健康保険証、運転免許証(取得している方)、学生証や社員証などが必要になる銀行もあるため、店舗の窓口で口座開設の手続きをする場合は、自分が持っている身分を証明することのできるものはすべて持参することをおすすめします。
銀行に申告する住所に実際に住んでいることを証明できるものが必要です。たとえば、住所が記載されている在留カード、住民票、光熱費(電気・ガス・水道)の請求書の原本などです。
重要な契約をするとき、海外では手書きのサインをしますが、日本ではサインの代わりに印鑑を押します。サインだけでOKになっている銀行もありますが、多くの銀行では印鑑での手続きが主流です。また、家を借りる、光熱費の申し込みをするなど、ほかにも印鑑が必要な場合があります。印鑑はカタカナやローマ字でも作ることができますので、持っていない人はこの機会に自分の印鑑を作ることをおすすめします。
銀行と連絡がとれる電話番号が必要で、連絡先がない場合、口座開設ができない可能性があります。携帯電話の番号でも大丈夫です。
口座を作るのに必要なものがそろったら、いよいよ口座開設の手続きです。
口座開設に必要なもの(本人確認書類、住所確認がとれるもの、印鑑、連絡先)を持って、銀行へ行きます。大きな銀行だといろんなところに支店がありますが、足を運んだ支店に口座を開くことになるので、家の近く、または職場の近くに行くことをおすすめします。来店したところが、住んでいるところからも職場からも離れている場合、理由を聞かれたり、場合によっては口座開設を断られることがあります。
また、銀行によってはオンラインでの申し込みができたり、インターネットのみで受け付けているネット銀行もありますので、口座開設したい銀行が決まったら、具体的な手続き方法を確認してください。
銀行の窓口の人の案内に従って、手続きをしましょう。
氏名、住所、生年月日は必ず確認されるので、日本語で言ったり書いたりできるよう、事前に準備をしておきます。また、キャッシュカードの暗証番号4ケタが必要になりますので、あらかじめ考えておきましょう。
現在、日本の銀行ではマネー・ローンダリングやテロ資金供与に利用されないよう、口座開設にあたって本人確認等の手続きが厳しくなっています。契約に関することなので日本語で難しいやりとりをしなければならない可能性もあります。できれば、日本人の友人・知人に同伴してもらうことをおすすめします。
口座開設の手続きが完了すると、預金通帳はその場で受け取ることができますが、キャッシュカードは後日、本人限定受取(受け取りのときに在留カードやパスポートなど本人確認書類を見せる必要がある)で届きます。カードが届くまでにかかる日数は1週間から10日ほどです。
ここからは日本で銀行口座を開設したいと思っている外国籍の方におすすめの銀行を紹介。銀行ごとに特徴や、口座開設に必要な書類や手続き方法を解説していきます。
在留期間が3か月以上であれば普通口座を作ることができます。全国に店舗・ATMがあり、利用しやすいのが魅力です。
また、口座開設をしたい外国人向けの案内と、インターネット上で事前に申込書を作成できるサービスを下記の14言語で提供しています。
英語/中国語(繁体字、簡体字)/韓国語/タガログ語/ベトナム語/クメール語/タイ語/フランス語/スペイン語/ポルトガル語/ネパール語/シンハラ語/ミャンマー語
・在留カード(在留満了日まで3か月以上あるもの。更新予定がある場合は、更新を終えてから口座開設しましょう。)
・学生証(在留資格が「留学」の方)
・社員証(在留資格が「技能実習」の方)
最寄りの郵便局に行き、必要事項を記入した口座開設申込書と必要書類を提出します。
ATM引出手数料:曜日・時間に関係なく無料
海外送金手数料:7,500円
確認に時間がかかり、受付当日の口座開設ができないことがあります。その場合は、後日、通帳が郵送で送られてきます。
詳しくは下記のゆうちょ銀行のサイトでご確認ください。
https://www.jp-bank.japanpost.jp/kaisetu/kat_gaikokujin.html
日本最大手の銀行のひとつで、全国に支店やATMがあります。信頼度や安定性で選ぶならおすすめ。
・在留カード、または特別永住者証明書(該当する方)
・印鑑(届け印) ※シャチハタ(インクが内蔵されている印鑑)はNG。
家もしくは職場から近い支店に行き、必要事項を記入した口座開設申込書と必要書類を提出します。
ATM引出手数料:8:45~21:00までは無料。その他の時間帯は1回につき110円
海外送金手数料:在外支店・現地法人あて→7,000円 他行あて→7,500円
※そのほかに取扱手数料として送金金額の1/20%(最低2,500円)がかかります。
海外送金はできる店舗が限られます。手続きしに足を運ぶ前に、海外送金を受け付けている店舗かどうか、銀行の公式サイトで確認しておきましょう。
詳しくは下記の三菱UFJ銀行のサイトでご確認ください。
https://www.bk.mufg.jp/kouza/index.html
大手の銀行で、全国に支店やATMがあります。窓口に加えて、インターネットでも口座開設の手続きができます。
・在留カード(在留満了日まで3か月以上あるもの。更新予定がある場合は、更新を終えてから口座開設しましょう。)、または特別永住者証明書(該当する方)
・印鑑
2つの方法があります。
(1)店舗で開設
家もしくは職場から近い支店に行き、必要事項を記入した口座開設申込書と必要書類を提出します。
(2)インターネットで開設
公式サイトの口座開設ページにアクセスし、必要事項を入力します。
家にプリンタがある場合は「申込書をお客様ご自身で出力」というページで入力作業を進め、終わったら申込書を印刷して署名、捺印し、本人確認書類と一緒に封筒に入れ郵送します。
家にプリンタがなく印刷できない場合は、「申込書を郵送で受け取る」ページから入力してください。1週間ほどすると申込書が郵送で届きますので、署名、捺印し、本人確認書類と一緒に封筒に入れて郵送します。
ATM引出手数料:
月曜日~金曜日 8:45~18:00 無料 8:00~8:45 18:00~23:00 110円 23:00~8:00 220円
土曜日・日曜日 0:00~8:00 220円 8:00~22:00 110円 22:00~24:00 利用不可。
祝日・振替休日 0:00~8:00 220円 8:00~23:00 110円 23:00~24:00 220円
海外送金手数料:本支店あて→8,000円 他行あて→8,500円
※そのほかに取扱手数料として送金金額の1/20%(最低2,500円)がかかります。
詳しくは下記のみずほ銀行のサイトでご確認ください。
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/account/index.html
全国に支店やATMがある、日本三大メガバンクのひとつ(あとの2つは先ほど紹介した三菱UFJ銀行とみずほ銀行です)。
・在留カード(在留満了日まで3か月以上あるもの。更新予定がある場合は、更新を終えてから口座開設しましょう。)、または特別永住者証明書(該当する方)
・印鑑
3つの方法があります。
(1)アプリで口座開設
本人確認書類(在留カードまたは特別永住者証明書)を撮影してアップロードし、必要な情報を入力します。1~2週間程度でキャッシュカードが届きますので、同封されている印鑑届に署名・捺印して返送します。
(2)インターネットで開設
申し込みにはSMS(ショートメッセージサービス)を利用できる携帯電話とメールアドレスが必要です。また、本人確認書類として、在留カード(特別永住者証明書)に加えて、運転免許証(運転経歴証明書)、マイナンバーカード、健康保険証のいずれかが必要になります。
三井住友銀行の公式サイトにアクセスし、ホームページ口座開設のページで手続きします。
本人確認書類(在留カードまたは特別永住者証明書)を撮影してアップロードし、必要な情報を入力します。1~2週間程度でキャッシュカードが届きますので、同封されている印鑑届に署名・捺印して返送します。
(3)店舗で開設
必要な書類を持って、家もしくは職場から近い支店の窓口で手続きします。口座の犯罪利用を防ぐため、氏名や開設した口座の使用目的、職業などを聞かれますので、しっかりと答えられるようにあらかじめ回答を用意していくことをおすすめします。
ATM引出手数料:
月曜日~金曜日:8:45以前 18:00以降 110円 8:45~18:00 無料
土曜日・日曜日:110円
海外送金手数料:海外支店・現地法人・提携銀行あて→7,000円 海外他行あて→7,500円
詳しくは下記の三井住友銀行のサイトでご確認ください。
https://www.smbc.co.jp/kojin/open-account/
ネット銀行なので、取引は提携ATMかインターネット上で行います。外国人が口座を作りやすい銀行のひとつです。公式サイトに外国人向けに口座開設できるかどうかチェックできるページ(英語表記あり)がありますので、申し込み前に確認しましょう。
・在留カード(有効期限内のもの)、または特別永住者証明書(該当する方)
※郵送で手続きする場合はコピーでOK。
郵送で手続きする場合は、その他、下記の3つのうち、どれかが必要です。
(1)運転免許証(交付後6か月以上経っているもの)のコピー
(2)公共料金(固定電話、電気、水道、ガス、NHK)の領収書の原本 ※コピーは不可
(3)住民票の写し、または住民票記載事項証明書 ※コピーは不可
2つの方法があります。
(1)郵送で口座開設
インターネットで口座開設申し込みフォームにアクセスし、必要事項を入力します。申込書は「自宅のプリンタで印刷」か「新生銀行から郵送で取り寄せ」のどちらかを選べます。
申込書に署名(または捺印)し、本人書類を同封したうえで新生銀行に送ります。
手続き完了後、新生銀行からキャッシュカード/セキュリティカード(簡易郵便)、暗証番号通知(特定記録)がそれぞれ別便で届きます。
(2) 店舗で開設
必要書類を持って、家もしくは職場から近い支店に行き手続きします。印鑑を届け出ておきたい場合は印鑑も持参しましょう。新生銀行では、印鑑のほか、署名を届けておくことができます。
ATM引出手数料:
どの提携ATMを利用するかにより異なりますが、ここではよく利用すると思われるいくつかをピックアップして紹介します。
セブン銀行ATM 110円
イオン銀行ATM 110円
ゆうちょ銀行 110円(平日の23:55~翌0:05と土日の0:00~0:05と21:00以降は使えません)
海外送金手数料:Goレミット海外送金サービスを利用した場合、2,000円
詳しくは下記の新生銀行のサイトでご確認ください。
https://www.shinseibank.com/powerflex/?intcid=mega_aopc_000_01
楽天グループが運営するネット銀行で、他銀行と比べて金利が高めなのが特徴です。また、多くの銀行やコンビニと提携しているため利用できるATMがたくさんあり、ネット銀行の中では使い勝手のよい銀行と言えます。
・在留カード(有効期限内のもの)、または特別永住者証明書(該当する方)
※郵送で手続きする場合はコピーでOK。
インターネット(パソコン・スマホ)から申し込みできます。名前や住所など、口座開設に必要な情報を入力します。希望のカード(デビット機能付きキャッシュカード、キャッシュカード機能が付いていないプリペイドカード、クレジットカード一体型キャッシュカード、キャッシュカードがあります)、本人特定事項の確認方法を選びます。
本人特定事項の確認方法は下記の3つです。
(1)アプリ
楽天銀行アプリをダウンロードし、本人確認書類を撮影して送信します。2日から2週間程度たってから、「ThankYouレター 初期設定ガイド」(簡易書留)が届きます。受け取ったら、口座開設完了です。
(2)配達員へ提示
申込から1~2週間程度で、「ThankYouレター初期設定ガイド」が届きます。配達員の人に本人確認書類を提示し、受け取ることで口座開設が完了します。
(3)郵送を利用する
申込後、返信用封筒が届きます。案内にしたがって本人確認書類を同封し、返送します。内容に問題がなければ、1週間から10日程度で「ThankYouレター 初期設定ガイド」(簡易書留)が届きます。
「ThankYouレター 初期設定ガイド」(簡易書留)が届いたら、ガイドにそって初期設定を行います。
ATM引出手数料:
どの提携ATMを利用するかにより異なりますが、ここではよく利用すると思われるいくつかをピックアップして紹介します。
セブン銀行ATM 220円(ハッピープログラムというサービスに加入すると、利用状況に応じて最大7回まで無料)
イオン銀行ATM 220円(ハッピープログラムというサービスに加入すると、利用状況に応じて最大7回まで無料)
ゆうちょ銀行 275円(ハッピープログラムというサービスに加入すると、利用状況に応じて最大7回まで無料)
海外送金手数料:750円
※そのほかに円貨送金手数料(日本円で送金した場合)3,000円、海外中継銀行手数料(送金した人が負担するか、受け取る人が負担するか、選べます)1,000円がかかります。
詳しくは下記の楽天銀行のサイトでご確認ください。
https://www.rakuten-bank.co.jp/account/
ここまでに外国人が日本で銀行口座を開設する条件・必要書類・開設の流れ・おすすめの銀行をご案内いたしましたが、その他にもよくある質問をいくつか紹介していきます。
【A】
基本的に在留カードに記載されている情報にのっとり、通帳はアルファベット、キャッシュカードはカタカナ(キャッシュカードは日本人でもカタカナ表記になります)になります。また、氏名が漢字表記とアルファベット表記、両方ある方は在留カードの情報にあわせて、漢字の場合は漢字、アルファベットの場合はアルファベットとなるようです。
ただ、銀行によってルールが異なるので、詳細は口座を作りたいと思っている銀行へお問い合わせください。
【A】
口座を開設するにあたって印鑑がいらない銀行もあります。日本では契約関連の手続きで印鑑が必要になる場合が多いので、一つ作ってもいいのではないかと思いますが、印鑑を作りたくない場合は印鑑不要な銀行を選べばよいでしょう。
【A】
店頭で手続きした場合には、原則その日のうちに手続きが完了します。(本人確認に時間が必要な場合は、通帳とキャッシュカードは後日郵送で受け取ります。)
アプリやインターネット上で手続きした場合、銀行や手続き方法により異なりますが、大体2週間程度で口座開設できます。
【A】
帰国することになり、銀行口座を使用しなくなる場合は必ず解約手続きをしてください。再入国する予定があるなど、引き続き銀行口座を使うことが予想される場合は口座を開設している金融機関に相談しましょう。
帰国する外国人の方が、小遣い稼ぎ等を目的にして銀行口座を売るケースが多発していますが、これは法律で禁止された犯罪行為ですので絶対にしないでください。場合によっては、法令による処罰、国外退去処分、入国禁止となることがあります。
外国籍の方が日本の銀行で口座開設するためには、
・在留期間が6か月以上で、仕事や留学を目的に日本に滞在している人
という条件をクリアしている必要があります。
口座開設に必要な書類は銀行やどのような方法で申し込むかによって多少異なりますが、絶対必要なのは在留カード(特別永住者証明書)です。
口座開設方法も銀行によって違いがありますが、主に下記の3つの方法があります。
・銀行の窓口で手続きする
・インターネット上で申し込みする
・アプリを使って手続きする
どの方法でも申し込んでから口座が開設されるまでは2週間程度かかります。
支店やATMが全国にあるので便利、口座開設しやすいなどを理由で、外国籍の方におすすめの銀行は6つあります。もし、どこの銀行で口座を作るか迷ったら、このなかから選べばよいでしょう。
・ゆうちょ銀行
・三菱UFJ銀行
・みずほ銀行
・三井住友銀行
・新生銀行
・楽天銀行
アクセス日本留学 編集部。外国人留学生のみなさんが日本の学校を見つけるための資料請求ができるWebサイト「アクセス日本留学」の運営や「外国人留学生のための進学説明会」を開催しています。
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