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UPDATE | 2022年06月01日

梅雨の時期におすすめ!【京都の日本庭園3選】

春、夏、秋、冬、と四季があり、季節によって違った景色が楽しめるのも日本の魅力の一つですね。 4月は桜、5月は新緑、そして季節は梅雨へと移り変わろうとしています。 今回は雨の時期にぜひ訪れてほしい、京都の日本庭園を紹介します。日本の禅文化(ぜんぶんか)や枯山水(かれさんすい)の歴史などにも触れたいと思います。

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「日本庭園」と聞くと、鯉が泳ぐ池や苔(こけ)がついた大小さまざまな形の石、砂で描かれた波模様などが一般的なイメージです。

ただ眺めているだけで不思議と心が落ち着く、正に日本独特の「侘び寂び(わびさび)」文化の代表と言ってもいいと思います。

では、そもそも日本庭園はいつ頃できたのでしょうか。


日本庭園のはじまりは今から約1400年前と言われています。朝鮮半島から日本に初めて庭園の技術が伝えられました。

710年(奈良時代)に平城京(へいじょうきょう)という首都が建設され、このとき都の計画に合わせて大規模な庭園が造られることになります。

当時の庭園は自然の形をした池を造り、そこに注ぐ水の流れを川や滝として再現していました。

これが後に、日本庭園の「枯山水(かれさんすい)」の基礎となります。

枯山水とは、水がない場所で石や砂、植物、地形を利用して水の流れを表現した日本の代表的な庭園の形式のことです。


鎌倉時代(1185年~1333年)には、主に座禅で修業をする仏教の「禅宗(ぜんしゅう)」が中国から日本に伝わり、禅の修行の場として枯山水庭園が造られるようになりました。

修行や思想をはじめとして、水墨画や書物、作庭など禅にもとづいた文化芸術が盛んになり、やがて茶道へとつながっていきます。このように禅は日本文化の骨格を形成しており、日本庭園にはその思想がよく表われています。

残念ながら京都の庭園の多くは争いによって焼失してしまいましたが、人々によって再建され、現代にも禅文化と共に受け継がれています。


それでは、京都でおすすめの日本庭園を3つ紹介します。


1.世界遺産に登録されている「龍安寺(りょうあんじ)」

龍安寺

どこにあるの? ⇒地図はこちら

京福電鉄 龍安寺駅下車 徒歩7分

市バス 59番系統 龍安寺前下車すぐ


白砂に15個の石が配置された枯山水の「石庭」が印象的な龍安寺の日本庭園は、日本だけではなく世界的にも知られています。1994年にユネスコ「古都京都の文化財」の1つとして世界遺産に登録されました。石庭を含む禅寺の簡素な庭と、桜や紅葉など季節によって様々な景色が楽しめる回遊式(かいゆうしき)庭園、二つの異なる庭園を持つところが、龍安寺の大きな魅力です。

龍安寺が建てられた室町時代(1336年〜1573年)は、この世の一切の執着を捨てる禅の文化が大きく栄えた時代だったため、その影響が強く表れています。

そこまで大きな庭園ではないですが人気のお寺なので、混雑を避けるためには早朝または雨の日がおすすめです。

雨音を聞きながら眺める枯山水は情緒(じょうちょ)たっぷりで、贅沢な時間ですよ。

龍安寺の近くには金閣寺(きんかくじ)や仁和寺(にんなじ)など、歴史あるお寺がたくさんあり、自転車やバスを利用して1日でまとめて見て回ることができます。

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2.苔(こけ)寺として有名な「光明院(こうみょういん)」

光明院

どこにあるの? ⇒地図はこちら

JR/京阪線「東福寺」駅から徒歩約10分

京阪線「鳥羽街道」駅から徒歩約5分


光明院は別名「虹の苔寺」と呼ばれていて、「波心庭(はしんてい)」と名づけられた枯山水庭園の苔と砂の調和が見事です。

600年ほど前に金山明昶(きんざん みんしょう)という禅師によって建てられました。近くにある東福寺(とうふくじ)の小寺院として、古くから地元の人達に親しまれています。

本堂がある東福寺に比べると規模が小さく、そこまで混むことはないのでゆっくりお庭を鑑賞することができます。

桜や紅葉の時期もきれいですが、私が一番好きなのは冬の景色です。雪が降り積もった庭園は普段とはまた違った趣(おもむき)があり、禅の世界にどっぷり浸ることができますよ。

また、光明院の日本庭園には、部屋から眺める景色を窓などによって切り取る「額縁効果」が上手く取り入れられているため、写真の撮り方によって風景が違って見えるのもおもしろいです。

観光客に人気の「伏見稲荷神社(ふしみいなりたいしゃ)」にも近く、東福寺とあわせてこのエリアをゆっくり散策するのがおすすめです。

3.気軽に座禅(ざぜん)体験ができる「建仁寺(けんにんじ)」

建仁寺

どこにあるの? ⇒地図はこちら

京阪線「祇園四条」駅、阪急線「河原町」駅から徒歩約5分


京都市東山区にある建仁寺は、禅の教えを伝える京都最古の臨済宗(りんざいしゅう)の寺院です。

中国で修業を重ねた僧侶・栄西(えいさい)によって約800年前に建てられました。

建仁寺の中にある「両足院(りょうそくいん)」の日本庭園の美しさは、訪れた人達が時間を忘れて見入ってしまうほどです。

重要文化財や日本美術が多数保管されていて、屏風(びょうぶ)の絵など実際に見ることができる物もあります。

予約をすれば有料で座禅や写経(しゃきょう)の体験もできます。一度わたしも早起きして座禅体験に参加しましたが、静かな朝の空気と庭園の緑がとても心地よかったです。無理して正座をする必要はなく、リラックスした姿勢で座禅体験ができるので海外観光客にも人気だそうです。


近くには、祇園(ぎおん)や八坂神社(やさかじんじゃ)、高台寺(こうだいじ)など有名な観光地がたくさんあるので、ぜひ観光のついでに建仁寺にも立ち寄ってみてください。


いかがでしたか?

静かで落ち着いた日本庭園が楽しめるのは、梅雨の時期ならではです。

たまには日常を忘れて、お庭を眺めながらのんびり過ごすのもいいのではないでしょうか。

京都を訪れた際にはぜひ日本庭園で禅文化に触れ、心穏やかにゆっくりと流れる時間を楽しんでくださいね。

この記事を書いた人

阪口裕子

大阪出身のフリーランス日本語教師兼ローカルガイド。2020年に京都の魅力にハマり、2021年に移住。現在はプライベートレッスンをメインに日本語を教える傍らライティングや中日翻訳校正、オンライン体験などを企画運営している。

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